2010年 08月 03日

6 短縮版

 『海老一』と大きく書かれた反重力装甲漁船が、ホバー艇『リトルピッグ』を先導するようにスリンガーランドの砂漠を飛んでいる。
 リトルピッグは報酬次第でどんな仕事でも引き受けるピースメイカー『バズ&フライヤーズ』の船で、今回は「逃がし」の仕事だが、それを専門としているチームがことごとく断っているようなヤマらしい。
 リーダーであるバズ・ウェインはデコイを使って犠牲者が増えることを懸念し、気心の知れた漁師の『海老一』を護衛に雇い、ストレートに移動する方法を選択した。
 『海老一』は、海老原一善、三郎の親子2代で仕事をしている凄腕の漁師だ。しかも、今回は同盟関係にあるチームから預かっている若者C.B.JIMも修行として同行している。


「逆光でよく見えません!……速い!撃ってきた!下の船を狙ってる!」
 船首で砲手をする一善は相手を認識し、眉間にしわを寄せながら正確に機銃を撃ち始めた。
「こりゃマズイぞい。」
 その掃射を軽くかわしながら、横をすり抜けた機体を見て、三郎も息をのんだ。
「魔女か!?」

 被弾しながらも速度を落とさず、リトルピッグも対空砲で反撃を始めていた。
「魔女やとぉ!?」
「ヤバイな……」
 揺れるホバー艇の中で森やんとバズはつぶやいた。
「何だそいつは?」
「俺らは守りのプロ、奴は殺しのプロ。それも超一流。追っ手は確実にアンタを消したいらしい……。」
「あんた達には大金を払ってるんだ、大丈夫だろうな!?」
「いや、魔女は想定外だ。甘く見ていたつもりはないが、ツケを払う必要があるかもしれん。」
「…………!?」
「な~に、俺らだって、あないなズベ公にそう簡単にはやられへんわ。」

 
「JIM、次の攻撃をかわしたらお前は逃げろ。」
「何言ってるんですか!?」
「お前に何かあったら海老一の名に傷が付く。お前ならバイクで逃げ切れるだろう。」
「そんなにヤバイ相手なら俺も一緒に戦います!」
「ダメだ!俺たちはバズに大きな借りがあるが、お前を巻き込むわけにはいかん。」
「JIM、お前はいい筋しとる。ええチームを作れよ。孫とも仲良くしてやってくれい。」
「一善さん……」

「最悪の場合、俺たちがデコイになってアンタを隠す。」
「あんた達は……!?」
「俺たちには俺たちの流儀がある。万一の時は海老一の家族に報酬を渡してやってほしい。」
「わ、わかった。約束する。」
「いいねえ。この時代、約束とか信頼がなきゃ人間やってる意味がねえもんな。俺らの生き様を見といてくれよ。」
 バズはニヤリとして操縦桿を強く握りなおした。
[PR]

by dokurozaru | 2010-08-03 22:29 | フランケンシュタイン


<< プロジェクトZETA      名古屋 >>